私は一応、管理職なのですが……。
管理職になって何か得をすることでもあるのでしょうかね?
残業代は確実に減りますし。
深夜手当は管理職でもつきますけど、休日手当はつきませんし。
もちろん会社側は管理職でも勤怠管理をしています。
(勤怠管理システムは共通です)
実際に勤怠管理や給与計算の仕事をしたことのある人なら分かると思います。
一般社員は法定内残業が1倍、法定外残業が1.25倍、深夜手当が0.25倍で計算します。
管理職は法定内残業が0倍、法定外残業が0倍、深夜手当が0.25倍で計算します。
つまり管理職にも深夜手当がつくのは同じですが、0.25倍しかつきません。
取締役は全て0倍(そもそも取締役の勤怠管理はしない)ので、それよりはマシかもしれません。
でも管理職になると、給料の額が減る人もいるのです。
働き者ほど残業代が減ります。働く気が失せますね。
管理職になって得することなんて何もないと言ってもいいですよ。
たまに「日本は女性管理職の割合が低い」などと言う人がいるのですが。
管理職の定義は国によって違うので、国際比較は無意味です。
日本の管理職(管理監督者)は労働者です。
その理由の一つは、管理監督者も労務管理や勤怠管理の対象になっているからです。
上記のように深夜手当を0.25倍にして計算するためには管理監督者でも勤怠管理が必要です。
※本当の管理職だろうと名ばかり管理職だろうと管理監督者だろうと勤怠管理は必須です。
有給休暇の権利が管理職にあるのも、管理職(=管理監督者)が労働者だからです。
会社側は従業員の有給休暇の取得日数を把握する必要があります。
管理監督者の有給休暇日数も把握する必要がありますし、管理監督者でなくても同じです。
労働基準監督署の立ち入り調査で「全員の有給休暇管理簿を3年分見せてください」と言われた時に、管理監督者の有給休暇の取得状況も3年分保存していないことがバレると怒られます。
それ以外にも、労働安全衛生法の対象に管理監督者も含まれるなど、管理監督者=管理職が労働者という証拠はたくさんあります。
※月80時間超の残業をした労働者に面接指導が義務付けられているのも、管理監督者でも同じことです。
残業代ではなく「残業時間」です。管理監督者の残業時間も把握する必要があります。
厚生労働省の労働基準局が発表している「管理監督者の労働時間データについて」という資料でも、「管理監督者も労働者」と、はっきり明記されています。
残業代がつくかつかないかと、労働者かそうでないかは無関係です。
裁量労働制のように、労働者でも残業代がつかない人は他にもいます。
(もちろん裁量労働制の人も勤怠管理の対象者です)
労働者でありながら、責任はそれまでより重くなる。
管理監督者になるのは百害あって一利なしと言っていいかもしれません。
だから、うちの会社のように女性管理職比率が高い企業は
「女性に負担を押しつけているブラック企業だ!」
という見方もできるのですよ。(笑)
管理職が多いのがブラック企業かどうかはともかく、女性だろうと男性だろうと、
管理職にはなりたくないという人はとても多い。
管理職になるのはいいことではなく、デメリットだらけだとバレているのです。
※取締役になりたくない、という人はもっと多いです。
上場企業だと、特にそうです。
なぜなら、株主代表訴訟で人生が詰むからです。
中間管理職のほうがまだマシです。
日本の女性管理職の割合の少なさと、ジェンダーギャップ指数とやらの国別比較を結び付けても、そのギャップはあくまでもギャップであって、全てが女性差別を意味するわけではありません。
フェミニストと呼ばれる人がいるのですか? よくわかりませんが、日本は女性管理職の割合が少ないから女性差別だと言う人がもしいるなら、たぶんその人は管理職になったり出世すると得をすると勘違いしているのだと思います。
今は出世などしたくない人がたくさんいます。
むしろ女性差別の問題があるとしたら、他のところにあるでしょう。
例えば、今どき「お茶くみ女子」を雇っている経営効率の悪い会社はないでしょうけど、もし女性社員だけにお茶くみをやらせているような昭和な会社がまだあったら、その古い考え方は批判されても仕方ありませんね。
批判するなら、そういう会社を批判すべきです。
※派遣社員にお茶くみをやらせるのも問題ですが、それは派遣法に抵触するかどうかの問題であって、男女差別の問題ではありません。
今は性別だけでなく、年齢や国籍や人種での差別もやってはいけないことになっています。契約社員や非正規の差別も禁止です。
※「パートタイム有期雇用労働法」では非正規の給料も正社員と同じにしろと言っています。同じ仕事をしているなら待遇に格差をつけるのは違法です。
採用、配置、昇進、福利厚生、解雇、定年、降格、パワハラ、セクハラなど、すべて「男女」が両方とも差別禁止の対象です。
女性優遇ではありません。
法律では女性も男性も対等になっているのです。
だから、出世することによるデメリットやストレスも、
女性も男性も同じく負担しろということですね。
現在は法律でメンタルヘルス対策や面接指導が義務化されていますけど、一般社員よりも管理職の方がメンタル不調になる割合は多いのです。
……それでも管理職になったり出世したいですか?
私にはその気持ちがよくわかんないですねー。
【まとめ】
女性管理職が少ない理由は管理職がデメリットだらけなのがバレたから。
今は女性だろうと男性だろうと出世したくない人が増えている……。